「建築構造物の耐震性確保のための提言」
「耐震設計偽造に関する研究集会」11月21日(月曜日)の議論をふまえて

2005年11月29日(11月24日に提言案を発表)
NPO法人建築技術支援協会
 文責:和田 章、安部重孝、米田雅子

8. 建築物の耐震性に関する情報公開
我国に限らず、地震工学は過去の地震被害の経験を教訓に発達してきたといえる。建築物の寿命は一般には60年とされているが、これより長く使われているもの、早く壊されているものがある。いずれにせよ、古い建築物には現行の耐震設計基準を満たさないものがある。これを既存不適格建築物という。現在の耐震基準は1981年に改正された基準をもとに1998年に大きく改正されているが、ここで決められている基準は最低基準である。具体的に述べると、数百年に1度建設地を襲うような大地震には、人命確保のために倒壊は防ぐが、大きな損傷を認めており、地震後には取壊さなくてはならなくなることもあり得る。このような耐震基準の現状を分かりやすく市民に公開することも重要である。この他、制振構造や免震構造などの新しい技術を用いることにより、より安全性の高い建築物を作る技術がほぼ同じ建設費で実用になっていることも知らせるべきである。「あなたが知りたいマンションの耐震性」NPO法人建築技術支援協会発行(2005年11月18日)が参考になる。