- 昭和３５年４月１日の大成建設株式会社技術研究部第二研究室（建築構造）に入社した。ここで壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造共同住宅建物（以下ＷＰＣ建物という）の出会いがあった。当時はすでに技術的にはＷＰC工法による２階建テラスハウスは開発を終え実施段階で、全て大成建設施工で建設されていた。当時は大成建設の商品名のＴｉｌｔ−Ｕｐ工法と呼ばれていた。
次なる研究目標は必然的に中層建物であり、物の順序として当然４階建ＷＰＣ建物が策定された。開発は２階建テラスハウスと同じメンーバーで、建設省建築研究所（建研）、住宅公団（当時）及び大成建設（第二研究室）であった。
開発担当の品川多美二氏が、当時大久保の建研構内に建設されたストロングルーム（水平加力装置）で２／３模型による4階建ＷＰＣ建物の水平荷力試験を行った。次いで昭和３６年頃豊洲の研究所構内にＴｉｌｔ―Ｕｐ工法による４階建実大建物の試行建設および加力試験を工業高校の生徒５０人程を実習名義で参加願い、ダイアルゲージの測定をお願いして行った。振動試験、水平加力試験も無事終了、これらの成果により石川島播磨重工社宅として4階建ＷＰＣ第一号が建設された。以降清水建設、竹中工務店で試行建設がおこなわれ、WPC工法と一般的に呼ばれるようになった。
昭和４０年、香港政庁より現地企業と大成建設が７階建ＷＰＣ建物（福来（ふくろい）団地）を受注し、現地企業の技術者の設計研修、建物の一部を改造して水平加力試験を行い風荷重に対する安全性の確認業務に携わり、１６階ＷＰＣ建物（４０５０戸）の受注に結び付いた。43年大成プレハブ�蝓文渋臉�ユーレック）に出向し、以来ＰＣ工法専門職種に専任した。本邦最初の４階建ＷＰＣ建物の試行建設および耐力確認試験、7階建ＷＰＣ建物の風荷重確認試験、大成ユーレックが開発した5階建ＷＰＣ建物の基礎プレハブ工法、１１階建ＷＰＣ建物の一般評定取得および共同研究開発（公団以下３９社等）した壁式ラーメンプレキャスト鉄筋コンクリート造建物の一般評定取得のプロジェクトに携わった。
４０年間にわたるＷＰＣ工法の構造関係の履歴書的な仕事が「記憶に残る私の仕事」で、多くのご指導を受けた先生方、また良き先輩、同僚および後輩に恵まれ、苦労とともに創造する喜びを経験することが出来た。
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