「大阪の名所となりつつある変わった建物」・・・・吾川正明
私の在職中に記憶に残る仕事の中で特に技術的にハード、ソフト両面に拘りを持って取組んだ工事の紹介をしたいと思います。工事名はオーガニックビル大阪新築工事で大阪中央区南船場に位置しており建物規模:SRC造地下1階地上9階塔屋1階、延床面積7056F、用途は事務所ビルの1993年竣工物件。ここまでの内容ならば何が記憶に残る程かと疑問を持たれるでしょう。当時の私は建設本部の全工事の前方、後方支援を主とした工務部門を預かっていた時期のことです。其れまでは現業も経験しましたが、紹介する建物はファサード面でも国内では皆無?発注者:(株)小倉屋山本、設計者:ガエタノ・ペッシェ{伊}、ユーディーコンサルタンツ、施工者:コーナン建設(株)。どんな建物かのイメージ?この建物はメソポタミヤ文明のバーチカルガーデン{垂直庭園}をイメージし、カラーコンクリート打ち放し{GRC}、縦横ライン傾斜した外壁にFRP製フラワーポットを取り付け植栽といったデザインです。実施工前には国内でカラーconの類似6/13件を見学調査。コンクリートとして検討{供給、製造、施工、品質}、仕上塗材との組合せ{サンシャインウエザー}他の試験等を実施。カラーcon打設か工場生産{GRC版}の検討・方式決定ののち、縦横傾斜ラインがmm単位で変化する371枚の壁体パネルとサッシュをCPにより寸法出しし手作り生産、そして壁付きの132個のフラワーポットの全数色調変えと、その取り付けと雨水排水方法の検討、工夫のプロセスを経て、まさに発注者、設計者、施工者{GC,SC}の三者が良い意味の汗を流して竣工しました。私にとっては真の「こだわり?」と「ものづくり?」について深く学び、技術力アップに繋がる作品でした。 |