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- 個人住宅の設計は 数多く経験したわけではないが、細かい所まで記憶に残っている。それは依頼主の個性的な要望を何とか翻訳して住空間にまとめる作業だけでなく、深く、その人の生い立ちや人生観にふれ、無意味な
こだわりと見えていたことが、人格の一部として理解されてくる。建築は依頼主の一部となって記憶される。
現在の住宅造りは [住宅展示場] あるいは[建売]が主流である。機能的には完成度が高く、価格も、こなれている、住宅探しとしては賢い方法であろう。しかし自分のイメージの住宅を求める人は、百の展示場を探しあぐねた末、設計
から始めることを、決心する。
「数学者の家」は定年後初めて手懸けた住宅である、古代伊都国の丘稜地、南に 雷山を望む景勝地に建つ、R C壁構造の打放し。基礎は造成地のため、地盤改良べた基礎としている。
建築主は数学教授、フランスに招聘されていた時、教授の奥様は彼の地で料理をマスター、石造りの家に住んでいた経験でコンクリート打放しに抵抗がない、室内の一部も打放しで構成した。1階は第一世代のバリアフリー住居2.3階は第二世代の核家族2階10畳の厨房では料理教室が開かれ、盛況とのことである。
「人の集まる家は良い家」という考えを持つ者にとって嬉しい限りである。
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