- 私のツーバイフォー工法との係わりは、昭和54年からになる。ツーバイフォー工法が昭和49年に告示化しオープン工法として定められた6年後となるので、オープン化当初の先輩諸氏のご苦労は体験していないのでこれから述べるツーバイフォーの技術上の進展は、ある程度レールが敷かれた上でのことであり、本来であれば告示制定前後の状況や企業化のところをどなたかに書いていただいた後にこの頁を書くのが本来の姿だと思っている。しかし歴史小説が必ずしも古代から読まれないことを考えれば昭和54年以降のツーバイフォー普及期から現在に至る進展を書くことも許される事と考え書き進むこととする。
- 性能の向上への取り組み
昭和54年当時ツーバイフォー工法は新しい木質構造としてユーザーから認知されておらず、柱がなくて大丈夫か、とかアメリカの工法だから日本の気候に適さないのではないか、など不安感を持たれつつもしだいに海外生活経験者や外人向賃貸住宅などから当時の住宅にはない日本ばなれしたデザインが受け入れられ始めた時期であった。一方建設現場では新百合ヶ丘や浦安といった大型建売プロジェクトがあり、大量の技能者を集め工事を進めていたが、新しい工法ということもあり在来木造の大工はあまり参入せず型枠大工や運転手その他もろもろの他職種からの転向組により施工体制が構築されていたと記憶している。現場の監督者も新しい工法ということで公庫の仕様書をたよりに技能者と一体となり施工方法や納まり仕様をつくっていった時期でもあった。この時期、住宅性能の面から見ると断熱性能・防火性能と耐久性については、ほぼ仕様が固まっており現在とほぼ同様の仕様が使われていた。断熱性能に関してはすでに50mmのロックウールを壁・天井に使用しており、気密性も工法上の納まりから当時の他工法に比べ高水準にあった。防火性能に関しても当時としてはぜいたくな石こうボード厚12mmを天井・壁全面に施工しクロス張りとしており、現在の省令準耐火構造と同じ仕様であった。数年前に昭和54年に建設された浦安タウンハウスがマンションへの建替えのため解体されることとなり大規模な耐久性調査を行うことができた。この調査でわかったことは、築19年を経過しても高い気密性（隙間相当面積3.8〜5.8
��2／�屐砲鯤櫃辰討い燭海函⊂臆爾箜以匹良綉爐聾�られず、まるで合板などは昨日施工した様な色をしている状況であった。むしろ基礎コンクリートの中性化の方が着実に進んでおり、雨仕舞・結露対策など水に対する措置がきっちりされていれば木材は大変耐久性の高い材料であることを再確認させられた。
当時、ツーバイフォー工法が劣っていた性能としては、床の透過音が挙げられる。455mm間隔にならぶ床根太210材（38mm×235mm）の上面に構造用合板を接着釘打ちし、下面に石こうボード厚12mmを直張りする構造であった。現場で透過損失を計測すると良くてD−30、悪い場合はD−25レベルで、まさしく下階のテレビの音が上階までつつぬけ状態であった。当然ながらクレームが頻発し、スピーカーや雑音発生器をもって性能改良のためとお客様のメンタルメンテのためにかけずり廻る日々が続いていた。
ある日、神戸支店の沼川氏より高級な在来木造でやっている吊天井をツーバイフォーでやってみたので測定しないかとの提案をいただき早速測ることとした。結果は以前に試みた仕様をはるかに上回るD−45がでて、床の遮音問題にピリオドを打つことが出来た。以後吊天井仕様は公庫仕様書にも記載されることとなり、ツーバイフォーの天井仕様として一般化していくこととなる。現在では吊天井仕様は改良を２度受け、現在のスチール遮音天井となるが、基本的な構成は継承されている。
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