- 観・想・考09
- たかがスラブ?・・・内藤雅義
- プレキャスト部材を開発し商品化する職務に携わっているが、特に集合住宅に於ける床板の仕事の比重が大きい。建物の構造設計に携わる人にとってはたかが住宅のスラブである。
このスラブもここ十年位でもずいぶん変化してきている。
集合住宅については住戸内の小梁を不要とする大型スラブが要求され、これに対応するためスラブ厚の増大と、軽量化のための中空スラブ、ボイドスラブが多用された。続いてバリヤフリー対応の為、水廻り部を下げる段差スラブ、変断面スラブが要求された。最近は遮音性の良い床が望まれ、特に重量衝撃音対策のためにスラブ厚が増し、構造より遮音で厚みが決まる場合も出てきている。さらに1住戸の面積が広がり、フロンテージの広さが競われ8〜9mといったスパンが現れている。これらの要求を満たすために私たちが手がけているハーフPCa床板も、ボイドスラブ、段差スラブ、二方向ボイドスラブ、プレストレスボイドスラブなどその都度開発し商品化してきた。
しかしまだまだお客様からのスラブに対する要求は続く。さらに遮音性の良いもの、断熱性、振動しない、軽い、ひび割れのない、……etc。
かくして、たかがスラブされどスラブ。まだまだ改良、改善、開発は続くのである。当分(永遠に?)スラブから卒業は出来そうもない。
PSATSへの参加・・・ 野嶋 治
- 私がPSATSの賛助会員として建築部会の会合に出席するようになったのは、「次世代へ技術の伝承」を目的の一つとして活動、とお聞きしたのが契機です。
勤務先では、諸先輩の言動を思い出しながら、技術としての考え方、客先への対応方法、押えるべきポイント、など個々「伝承」を試みていますが、結果的に期待を裏切られる言動を客先経由で聞き、不徳の致す処と「技術伝承」の難しさを日々痛感していた次第です。
現在、建築分野では免制震など各種の新材料・新構法・新工法が、建築を取巻く周辺のIT業界やエネルギー業界などでは幅広い技術の革新が、非常な速さで進展中です。その様な情勢の中で建築を生業とする人達にとって「技術伝承」は、不可欠な基礎技術と確信しています。
しかし、若い方々とは世代、価値観、考え方、等が異なり、難しい事と感じていました。従って、会合へは、各専門分野で具体的にどの様に試みられているのか、さらに数十年の経験やノウハウを保有する各専門の方々の見識も洩れ承れる、との期待から時間の許す限り参加させて頂いています。
「建築」に係わる技術を時代要請の流れに沿わせ続けるには、技術進歩の早い時代こそ基本に帰り、ベース技術を継承し、その技術に日進月歩している分野の要素技術やトータル技術の組入れを図る必要があると考えています。
今後もPSATSにおける諸先輩の会話を楽しみに参加させて頂きますので宜しくお願いします。
リフォーム半年の近況報告・・・ 野村辰男
- 東京での8年2ヶ月の木建材卸スタッフの仕事を離れてから早いもので半年余りが過ぎました。
社会人となって初めてのRC造新築現場の工事管理に始まり今まで色々な経験をして来て、今回は、新築が低迷する中で脚光を浴びつつあるリフォーム専門会社に出向と又、新たな転身です。
今はまだ最初のコンクリート打設時の興奮に似た思いで毎日を過ごしています。直後は、メンテナンス担当としてお客様とのアポ取り〜巡回とかなり緊張して疲れ方も尋常ではなかったのですが、最近では、何事も何か新鮮でお客様などとの会話も弾みます。唯、お客様の期待に応えていない出来上がりや不具合がある時には正直にがっかりし、組織の一員としての限界にジレンマを感じます。ご満足の結果、「又、お願いします。」と言われるとつい嬉しくなります。
年初からは、生活されている中での工事も多いので当然実行されていなければならない安全衛生管理や現場美化活動の推進に加え、品質パトロールも守備範囲に入り、近畿圏のみならず東海地区にも出掛けています。
着任半年、図面通りつくり込む新築とは違い状況判断が求められるリフォームの難しさ・限界とお客様の満足度とのバランスに満点はないものかと思い始めています。又、リフォーム向きの技術者や技能者の養成、技術資料の整備や資材・流通面での対応といったことにも首を突っ込むなど忙しい毎日です。