最近の建築技術者の能力向上意識について・・・・・ 柳川 裕 先ず、「自学自習で能力を高めること」を企業は重要と考えているが、技術者の約1/4が重要とは考えていない。また、企業は「社内研修」を重要視しており、技術者もそれに近い考えはあるが重要性を若干低く見ている。 さらに技術者は、「社外での専門教育・研修」を重要視している傾向があるが、企業側の意見は分かれている。しかし「自分の能力やキャリアを見直し、不足分の能力形成に役立てること」は企業・技術者共に重要と認識しており、「自分への投資」を技術者やゼネコン企業の8割以上が重要と考え、機会あれば自ら進んで参加する意識が読み取れる。なお設計事務所企業がやや低いが、「仕事を通してのスキルアップを重要と考える」傾向があるためかと考えられる。 次に、会社側の「定型型訓練のメニューを提示し、自分で選択できる」ことに企業、技術者共否定的であるが、 20代社員の7割弱が選択を望んでいる。職種では、設計、研究開発担当はこの訓練を有効とは捉えていない傾向が窺え、「仕事を通して能力を上げる」、「社外での教育・研修」を望んでいる。構造設計や施工管理担当は、「定型型教育」を有効と考える者の方が多い。 最後に「自己のビジョン形成のための行動プランを作ること」については、企業側は必要性を感じない傾向があるが、ゼネコン施工管理担当にその必要性を強く感じる傾向が強い。このことは、自分を見つめ直したり自己啓発のための「勤務時間短縮」希望などにも現れ、企業は自己啓発のための勤務時間の変更は良しとしないが、技術者はこれを望んでいる。20代および構造設計、施工管理担当にこの意識が高い傾向がある。裏返せばこの年代や職種が非常に多忙であることが窺える。 この調査から、企業の教育・訓練方針と技術者の意識には、職種・職能や年代の違いによるギャップが種々明確になった。現在、技術者のあり方に関して種々議論されているが、今後、社会的にもこの点を踏まえた意識・向上努力が、より多くの企業や建築技術者に求められているのではないかと感じた。 女性建築士の趣味活動を通して・・・・片岡泰子 (社)東京建築士会の中に、私も所属している女性委員会という組織がある。今どき、「女性だけによる活動」の意味を問う声が内外からあり、同じ理由で当初は抵抗を感じる委員もいるが、すぐに子育てと仕事の両方を話し合える仲間のいる環境に魅力を感じてくるようである。この中にバリアフリー部会がある。住戸内や交通機関のバリアフリー対策の提案もしているが、自分らしい生き方を続けるための住まい方、「終いのすみか」を探ろうということを行っている。 |