隣国中国の健全な発展を願う・・・・・萩原忠治

　中国は昨年有人宇宙飛行に成功し、2008年のオリンピック、2010年の万博を控えて活気に溢れ、世界の注目の的となっている。
　1949年中華人民共和国設立以降、最近まで中国に関する報道も少なく、関心を持つ人も少なかったと思う。私もその一人であった。
　私が中国に注目するようになったのは、中国政府の要請で、1995年から5年間の計画で開始された中国住宅技術供与プロジェクトの専門官として、中国に派遣されてからである。中国に関して無知な私は、突然の赴任にあたり、まずは前任の専門官を訪れ、生活するに当っての情報を仕入れた。それによれば滞在地には、食堂や売店も無いとのこと、事務用品や夜食など、生活必需品は持参するようにとのアドバイスがあった。
　数日後準備万端整えて北京に飛んだ。北京空港では入国検査でパソコンを没収されるトラブルがあり、暗い気持ちで車で北京市内に向かった。車中からは、3月の冬空と広々とした原野に点在する人影のないレンガ造りの古い農家が目に入った。やがて北京市街に入ると、そこはビルが建ち並び、人と車と自転車が往来する活気のある都会に一変した。滞在地には、スーパーやレストランが既にあり、都市と農村の格差、街の変化の速さに驚かされた。
　滞在中私は、施工担当専門官として出来る限り施工現場を視察することとした。施工中の建物はプロセス管理不在のおそまつな状況で、中国の建築技術は日本の20年遅れとの事であった。技術供与の成果は大きいと感じたしだいである。このプロジェクトの実施中に中国の建設部、研究院、大学などの建設関係者との交流の機会を得た。
　その後現在も、メール、交流会などで情報交換を継続している。住宅建設計画も都市化発展速度に対応した商品化住宅建設が、着々と進んでいるとの事である。
　最近の中国は年率８％近い高度経済成長を続けており、2010年には実質国内総生産(ＪＤＰ)の世界に占めるシェアが5.3％にまで拡大すると予測されている。不動産や株式市場などへの投機的な動きも活発である。日本と同じような実体のない「バブル経済」になるのではと警鐘を鳴らす人も多い。健全な発展を期待したいところである。

文化伝承を妨げるもの　・・・・・松下一郎

　だいぶ前のことになるが、山根一真氏が「１６年前のFDに記録はきちんと残されているのに読み取れるマシンはほとんど絶滅しかけている。このようにハードが短命では大切な文化は残せない。メーカはどう考えているのだろうか。」といった主旨のことを日経新聞に書かれていた。確かにこのことは、ITが氾濫している昨今、真摯に受け止めなければならないと問題だと思う。
　新し物好きで、目新しいものにすぐ飛びつきたくなる私（熊本では”ワサモノ“というらしい）にとっても苦々しい数々の想い出がある。といってもいつも懐の方でブレーキがかかるので、この程度の被害で済んだと思うべきかも知れない。昔、一生懸命にこしらえたオープンリールの音楽テープや、子どもの成長記録の８ミリ映画などをひょっと思い出して鑑賞しようと思っても、当時の機械は使えなくなっていて最近では代替のマシンが見当たらないので断念させられてしまう。
　パソコンにしても、現在、Lavie LL770/8DTと（WindowsXP）とDB70P/5MC（Windows98)の2台を自宅で併用しているが、この二十年ばかりの間に付き合ってきたマシンは、ポケコン（4ビット機）にはじまり、PC-8800Mk�供�8ビット機）、PC-9800R（MS-dos）を経てPC-9821Nr15（Windows95）と代を重ねてきた。新しいマシンを入手するたびに目覚しい機能向上ぶりに驚かされたことを思い出すが、このように進化を遂げた結果、昔の記録が取り出せなくなってしまっているものがあるのに気づいて呆然となることがある。OSも世代交代して昔の記録が取り出せなくなってしまっているし、5インチFDを読めるマシンもすでに死に絶えてしまったようである。
　結局、個人レベルでの自己防衛策としては、ハードコピーで残すとか、メディア変換するなどして残しておくしかなかったようである。こうした問題に対処するいい方法があれば是非ご教示いただきたいと思う次第。
　かつて、ビデオでVHS方式とβ方式のバトルがあったし、現在、同じ様なことがデジカメやDVDの世界でも起ころうとしている。将来も同じようなことが繰り返されるに違いないと思うと、個人的な被害にとどまらず、大げさにいえば文化伝承の妨げになることは確かで、何とかならないものかと思う。