- 仕事でマンションの大規模修繕に関係することが多い。ほとんどの外装材はタイルである。タイルがこれほどまでに普及したのはなぜなのか。外装材として耐久性が高いことがまずあげられようが、実は剥落などのトラブルも生じやすい。それでもタイルが好まれるのには、何か別の理由があるのではないか。最近、次のようなことを考えている。
「タイルのパターン」は見た目に心地よいパターンであり、その心地よさは「木の葉のパターン」を眺めているのと同じである。木の葉に囲まれている心地よさはDNAに記憶されている・・・という仮説である。
1952年にワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造のモデルを発表して以来約50年、本年4月に約30億対のヒトゲノム解読完了が宣言された。DNAのうち、遺伝子として働いている部分は10%以下であることがわかっている。その他の90%以上の部分にも何らかの情報があるはずで、「木の葉のパターン」が記憶されていてもおかしくない。
人の1日単位のリズムは、医学的に「サーカディアンリズム」と呼ばれている。直訳すると「概日周期」である。この周期は基本的に約25時間である。24時間ではなく25時間というのはなぜか。これは人の祖先が海に住んでいたことに由来する。海の中では、生物はリズムを潮の満ち干に合わせているのが普通である。潮の満ち干の周期は約12.5時間であり、その2倍が約25時間で、月の公転の周期となる。地球上に生命体が誕生したのは36億年前であり、哺乳類の祖先が陸上で生活し始めたのが6億年前である。人の25時間のリズムは、30億年間海の中に暮らしている間に獲得した。6億年前に陸上の生物になって、潮の満ち干に関係なく暮らすようになっても、この情報は失われることなくDNAに記憶されている。このことから次のように類推できる。霊長類の祖先は6000万年前に樹上生活を始め、人の祖先は20万年前にホモサピエンスに進化してサバンナで生活を始めたが、6000万年近くの間、木の葉に囲まれて生活している間に、心地よい、あるいは安心できるパターンとして「木の葉のパターン」はDNAに記憶された。小口平タイルは桜の葉、45二丁掛けタイルはクスノキの葉と同じような大きさであり、「タイルのパターン」も「木の葉のパターン」と同様に心地よいパターンとして認識される。また、瓦は桐の葉の大きさに近い。「瓦のパターン」も同様ではないか。
さて、諸兄、この仮説についてどう思われるか。筆者は証明したいものと考えているが、アイデアがあったら教えていただきたい。
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