- 観・想・考15
「CALSのススメ」・・・・・赤木久眞
- IT(情報技術)という用語はブームを過ぎ、定着した感がありますが、CALSやECは如何でしょうか。インターネットやマルチメディアは、もはや当り前になりました。世の中の動きは急で、NTTグループに籍をおく小生ですら、こうした動向を的確に把握するため日々奮闘しているようにも思います。皆さんは、まとまった情報をもっと得難いはずであり、IT革命とも呼ばれる昨今の急激な変化についていくのは大変なのではないでしょうか。
CALSは、各種情報を電子化し、ネットワークを介して交換・共有することにより生産性向上を図ろうとする概念とされ、語源は20年ほど前の米国にさかのぼります。建築関係では、国土交通省「CALS/ECアクションプログラム」が策定され、直轄事業に対する電子入札、電子納品等の導入推進により身近になってきました。CALS/EC地方展開アクションプログラムも策定され、すでに全国の地方自治体も動き始めています。これらは政府のIT戦略本部が2001年に定めた、5年以内に世界最先端のIT国家の成立を目指す「e―JAPAN戦略」の一環として進められています。
IT化は正しい知識で着実に進めて行かないと、ITバブルの用語もある通り、思ったほどの効果は出てこないといえます。このたび小生のグループでは、これから本格実施に入るCALS/ECに関しての専門情報をまとめて紹介するインターネットWebサイト(http://www.cals-fm.jp/)をオープンしました。ぜひご利用ください。
「建築に携わって奇異に感じたこと」・・・・・宇留野 清
- 私は機械工学の出身で、入社以来約13年間主として製鉄所の設備全般のメンテナンス、エネルギー設備(火力発電、酸素プラント等)の建設とメンテナンスを担当してきたが、30年前に異動で突然建築(鉄骨)に関係することになった。その時以来しばらくの間奇異に感じたことを、思い出すままに二、三挙げてみたい。
- 一、設計事務所の担当者を「先生」と呼んでいたこと
世の中に「先生」と呼ばれる人は多いけれども、若い設計担当者を「先生」と呼んでいたことにびっくりした。(後日、設計者を「先生」と呼ぶ様になった理由?というものをものの本で読んだ。半分納得)
- 二、建築(鉄骨も含めて)の発注に当たって仕様が明確になっていないこと
入社2年目に圧延機の歯車の発注仕様書を書かされた。歯車1セットでB5で5〜6枚の仕様書を書いた記憶がある。酸素プラントの場合は数十枚になったと記憶している。それに較べ建築の場合はお粗末なような気がしてならない。これが建築の手抜き工事の元凶と思っている。
- 三、溶接部の許容応力について
高圧ガス設備の場合、許容応力は溶接部の非破壊検査(RT)の検査率で決められていた。(最低の許容応力の率は0.6程度と記憶:現在も同じ)
建築の場合:旧旧告示1308号、通達では溶接の作業方法、設備内容(旧1103号もほぼ同じ)で決められていた。溶接部の品質が、作業方法や設備で決められると判断した理由がわからなかった。今でもわからない。建築の場合、今でも最終的な品質の確認(検査)が疎かにされていると思う。
30年もたつと何とも思はない。慣れとは恐ろしいものである。