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設立時(平成10年11月17日)の趣意書

 建築生産に関する日本の技術は、戦後の復興以降、近代化・合理化を旗印に建設活況が続いた中で、各専門分野で飛躍的に進歩・発展を遂げてきた。さらに近年は、社会の成熟化に伴って、建築物の性能評価、品質保証、保全、ライフサイクルコスト、あるいは地域の景観、環境および安全等が一層重視されるようになり、それらに対応する技術も急速に進展して、建築技術は非常に多様化、高度化してきている。
 これらの優れた技術は、今後とも引き継がれ、更なる向上・発展を重ねて、時代の要請に応じて広く社会に還元されていかなければならない。
 しかしながら、今、高度な建築技術を次代へ継承していくことが困難になりつつある。社会経済の変化に伴って、建設市場は縮小傾向を辿りはじめ、市況が深刻化する中で、建築生産に携わる企業は多彩な熟練技術者を常時社内に確保しておくことが難しいだけでなく、若年層への技術継承の機会となるプロジェクトすら減少している。 また、高度な技術と豊富な経験をもつ多くの技術者は、定年を迎えて、後継者がいないまま、第一線から退くことを余儀なくされており、その 鍛え上げた専門技術を生かす場を再び見出すことも難しくなりつつある。このような環境下では、マニュアル化された手法のみが先行し、経験によって培われた 生身の技術伝授がおろそかになり、有効な技術開発の進展にも支障をきたし、ひいては建築技術の後退、建築物の品質低下を招く恐れがある。
 このような背景に鑑みて、各専門分野でこれまで培われた高度な技術や経験を、社会の要請に応えて生かしていく機会を創出することは、今後の重要な課題である。その視点から、ものづくりに欠かすことのできない高い倫理性と高度な技術を有する退職者等中高年の技術者が、互いに協力して、建築技術に関する幅広い分野で各種の支援活動を行うことは、健全な社会資産の形成にとっても極めて有意義なことである。
 よってわれわれ有志は、「建築技術支援協会」を設立し、意欲ある多彩な専門技術者を募り、非営利団体として、建築技術関連の支援活動を通じて、社会に貢献しようとするものである。それらの活動の目標は、次代の人材を育てる教育推進、地球環境も視野に入れた環境保全、耐震、耐火等に基づく地域安全、その他建築に係る幅広い助言・援助を通じた健全なまちづくり、海外技術支援等の国際協力、等々広く公益に寄与するものとする。
 さらに、建築行政面では最近、建築基準の性能規定化等の面で建築基準法の改正が行われたが、本協会はそれらの仕組みを支える公正中立な第三者機関の一つとして、性能評価や審査・検査に貢献することについても検討することとする。