シンポジウム・セミナーのご案内

平成22年度「サーツ寺子屋」

第3回
6月10日(木)18時~

終了しました

 

 
講 師:神田順 東大教授(東京大学新領域創成科学研究科)
テーマ:「建築基本法と建築の質の向上 」
建築基本法の提案は、性能規定化をねらいとした建築基準法改正が法規制の限界を見せたことが契機となった。技術基準を、国によって法の形で整備することは、もはや限界であり、その歪みを解きほぐすには、新しい法体系が必要であると考える。専門家の判断が尊重されるためには、情報は公開するが、判断の責任は専門家が負うことを、国民も行政も了解して初めて可能になる。それが建築基本法である。建築物が単に私有財産としてではなく、社会資産であることを確認し、その質が社会にふさわしいかどうかを、自治体レベルで合意することが、これからの持続可能社会の実現に向けて、私たちの必要とする新しい社会制度だと思う。構造安全性は、最低基準を全国一律に定めて皆で守ろうとするのではなく、どの程度安全かということを十分に情報開示した上で、その用途、規模、土地にふさわしいレベルを選択する時代になった。その実現に向けて、構造安全性は自治体を構成する人々の責務であるということを基本にする制度づくりを進めるとよいと考える。社会資産、地方主権という考えについても、基本法制定の過程で十分な国民的議論が、建築の質の向上を導くものになると思う。

第2回
4月15日(木)18時~

終了しました

 

 
講 師:杉山義孝 財団法人日本建築防災協会専務理事
テーマ:「建築ストック社会と建築法制度」
これからの時代を、新築の建築活動が相対的に減少し,既存の建築物を活用することの重要性が高まってきた建築ストック時代と認識し、こうした時代が本格化するに際して、あるべき建築法制度のあり方を検討しておこうというもの。
ストックの建築物の水準を維持するためには、①適法に建設し、また適法に建設された建築物について適切な維持管理が行われ適法な状態が守られること、②既存不適格建築物について適法な状態に水準の向上が図られること、③違法な建築物について適法な状態に改変が行われることが必要である。これらのことが適切に行われるために建築法制度として何が必要か、何が問題となるか明らかにすることが重要である。背景には、今まで日本の法体系が経済成長著しい中で、公が設定した目標を達成することを第一義とするキャッチアップ型の法体系になっていることに関して、これからのストック時代は関係者が協議して、目標水準、方法、達成時期等を協議して定めるコンセンサス型の法体系に変わっていくべきではないか、という問題意識がある。

第1回
1月28日(金)

18時~

終了しました

 
講 師:米田雅子 慶應義塾大学・NPOサーツ常務理事
テーマ:「平成検地」を考える-問題提起-
地籍調査や境界確認は、これまで各省が個別に取り組んできたが、進捗率48%(平成20年度末)と思わしくない。全国の至る所で「地籍や境界が不備なために、土地の適正利用や森林の集約化が進まない」という深刻な問題が発生している。また、国土の危険箇所の把握も不十分で、全国52万カ所の崖崩れ危険地の調査は進捗率30%(平成20年度末)であり、トンネルや橋梁については危険箇所だけでなく位置も十分に把握されていない状況である。 「平成検地」は、将来の効率的な国土管理に必要不可欠な事業である。建設業の雇用問題に対する迅速で広範囲な有効策として提案する。

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