- 1995年夏。家内が子供たちを連れて里帰りし、土日を久しぶりに一人ですごすことになった時のことだ。何を借りるというあてもなく近くのレンタルビデオ屋に立ち寄った。その時何故か目に飛び込んできたのが森高千里さんのライヴビデオだった。「森高千里」。名前は知っていたし、聞き覚えのある曲もないではなかったが、何年も歌番組など見たことのなかった私だから、あの時森高さんのビデオを手にしたのは神の啓示としか説明のしようがない。「なんでこんなもの借りてしまったのかなあ」と正気に戻りはしたが、「折角借りたのだから」と大して期待もせずに帰宅後再生してみた。ところが、どうしたことだろう。2時間近くに及ぶビデオを見終わった直後、再度ビデオ屋に自転車をとばし、他の森高さんのビデオを全部借りてしまった。感動したのである。泣いたのである。踊ったのである。心に火の着いた中年は恐ろしい。それからというもの、建築界の隠れモリタカファンを組織し、全国ツアーを集団で追っかけるわ、アジア各国でCD、DVDを買い占めるわ、家内に罵られながらも部屋中ポスターだらけにするわで、あっという間に21世紀に突入したのだった。俳優の江口某と結婚され、二児の母となられた森高千里さんに幸多かれと祈りながら、ファン一同で思い出のライブDVDを鑑賞し、カラオケボックスにあるモリタカを全曲歌い切る。今ではそんな活動しかで
- きなくなったが、私たちの地下活動は今もひそかに続いている。
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