「室内楽の楽しみ」・・・・松本信二

 私の趣味のうち、子供の時代から継続しているものは、クラシック音楽である。父親が音楽好きで学生時代からヴァイオリンをたしなんでいたということもあり、5人の子供すべてに何らかの楽器を習わせた。しかし、我が家の遺伝子には、音楽的な才能が欠如しているようで、いずれもそれほど上達しなかった。それでも、音楽を愛するきっかけを作ってくれたことは確かであり、ほとんどの者がいまだに趣味として継続している。
 私の場合も、子供のころに父からヴァイオリンの手ほどきを受け、その後、専門の先生についたこともあるが、本質的に不器用であり、練習熱心でもなかったので、当然のことながらあまりぱっとしない。しかし、長年我慢強く続けていたので、アマチュアオーケストラや室内楽のメンバーとして演奏を楽しめるようになった。
 最近は、室内楽(小編成の合奏)の演奏を時々楽しむ程度であるが、下手な演奏であっても実に楽しい。演奏中は、日常生活のわずらわしさを忘れることができ、時々ではあるが、音楽的な高揚感を体験することもできる。
 室内楽の好きなアマチュア音楽家が集まって、APA(アマチュア演奏家協会:Amateur Players Association)という組織をつくっている。時間の都合のつくときに適当なメンバーが集まって室内楽を楽しむための組織であるが、いくつかの地域で例会を開いている。JR大船駅の近くでは毎月湘南例会というのをやっており、現在は私が幹事を務めている。何人かの常連もいるが、初参加の人も大歓迎である。
 音楽は世界の共通語であり、どんな国の人とでも一緒に合奏することができる。外国の音楽愛好家と一緒に室内楽を楽しむ機会もときどきあるが、言葉を超えた心の交流ができる。共同作業によって音楽をつくりあげていくことが実に楽しい。
イギリスのヴァイオリニスト、デイヴィッド・エンジェル氏らと弦楽四重奏を楽しむ