「多摩川の魚を薫製する」・・・・ 小須田廣利

 多摩川漁業組合が管理する多摩川水系の渓流魚の解禁日は、毎年3月の第1日曜日です。
 その日の昼には、運動会の朝に上がる音だけのあの花火と共に、一斉に竿がおろされます。
 この日はお祭りですから、魚を釣ろうなどと間違った考えは止めなければなりません。マラソンを応援する観客が、道路に鈴なりになるが如く、川を挟んで群るのです。このお祭りに向けて主にニジマスの稚魚と成魚を数万匹放流するそうです。また5月の連休頃もう1度放流されます。この2回放流されたニジマスを渓流屋さんは1年かけて楽しむのです。多摩川においては生餌釣りにどうも分があるようです。水中の石の裏側に生息する川虫が良いでしょう。扱いやすさからはイクラやブドウ虫などが手ごろでしょう。暖かくなり水中昆虫か羽化する頃はフライフィッシングも棄てた物ではありません。都心から近いこの川には釣り人が多すぎて天然魚は期待できません。ゆえに多摩川には養殖魚しか住んでいません。
 海ざかなと川ざかなとどちらが美味しいでしょうと聞かれれば、それはもちろん刺身での海ざかなでしょう。しかし川ざかなも手間ひまかけて薫製にしたとき、それはそれはすばらしいつまみに変身するのです。ニジマスはもちろんのこと、ゆで卵、チーズ、塩じゃけ、たくあんなど薫製しながらアツアツのニジマスにエビスビールはとても相性がよいのです。

簡易くん製器 いぶすくんと自家製くん製器

桜のチップでじっくりいぶす

ゆで卵や鮭の切り身もくん製に

釣ったニジマスは内臓を取ってまるごといぶす