「サバンナクラブ」・・・・伊藤誠三


「サバンナクラブ」というのは東アフリカ野生動物をこよなく愛する人たちの集まりである.1976年に戸川幸夫氏他で設立され会員には渥美清氏の名もあった.2ヶ月ごとに集まりがあり,現地の様子がスライドで報告される.私は1995年に入会した.JICAの案件でナイロビに出かけることになった時,偶然に同会の写真展があり,会場で世話の方に」声をかけた.私の「これから出掛けるのですが」に,「やぁ,仕事で里帰りですか」と羨ましそうに言われて,即,入会となってしまった.会員の人達は現地に行くときは「里帰りしてきます」というのである.それから 3年余の間,度々,長短期の出張をし,週末にはしばしば,サファリに出かけた.業務はナイロビの医療訓練学校の設計監理であったが,地方の同種学校への訓練用教材の供与業務が含まれており,各地へ検証に出かけた.その途次も広大な草原,沢山の野性動物,初めて見る鳥や小動物,マサイの人たちの素朴な生活に接する機会があり,まさに心洗われる旅となった.現地の人たちとの交流も記憶に残る思い出だ.スワヒリ語は40を越える東アフリカ海辺地域の部族の共通語として作られたものだそうだが,独自の文字はなく,多くの諺で口承される先人の知恵は古い日本のそれと似て大いに興味がそそられた.その後,里帰りができないのは残念だ.