吟醸酒なるものは、出荷される清酒全体(近年は100万kl以下)の6%程度にしか過ぎない。厳選された原料を使って手間をかけて造るので、値段も高いが普通清酒に比べれば断然旨い。それでも酒造りの基本となる発酵過程は人や機械ではコントロールできない微生物の働きによるため、製造蔵ごとに、また年ごとに、更に仕込み瓶ごとに香味は微妙に異なってくる。その吟醸酒のでき具合を客観的に競う全国大会が、毎年5月に開催される「全国新酒鑑評会」(以下単に鑑評会という)である。ここで毎年入賞酒(金賞と銀賞)が決定される。 鑑評会の出品酒は各蔵がいろいろ仕込んだ中で最もよいと判断したものであるから、その量は限られている。したがって、鑑評会の金賞受賞酒そのものは、一般にはなかなか飲める機会がないが、私が偶々それにめぐり会えたのは20年程前のことである。その頃はまだ吟醸酒も、鑑評会のことも知らなかったので、その鼓郁たる香りと淡麗ですっきりした切れ味に、今まで飲んでいた酒は一体何だったのかと愕然としたのを思い出す。それを契機に、酒の香味と酒造りに興味を持つようになり、「酒味」として日本酒に関する本をよく読み、酒蔵巡りや民間主催のいろいろなきゝ酒会にも機会あるごとに参加して、吟醸酒の比べ飲みを楽しむようになった。 また、鑑評会の入賞酒の過去の記録も調査し、平成3年当時、なんとか20年間以上の金賞記録が揃ったということで、そのままにしておくのはもったいないので、そのデータをもとに、銘酒リスト「酒を呑むならウマい酒!」を毎年自費出版するようになった。更に、仲間の有志が集まって、日本の文化でもある吟醸酒をより一層広めるために、昨年NPO法人「吟醸酒研究機構」を立ち上げた。 一方、サーッにおいても、酒好きの方がおられたので、「PSATS銘酒の会」を発足させることになり、当会報編集長の伊藤さんに幹事になっていただいて、6月より毎月きゝ酒会を開いている。場所は新木場にあるログハウス「ウッドラーク」という店の借りきりで、太い丸太で組まれた壁を背に、よい雰囲気で、純米吟醸酒を主体として、毎回異なる酒を5〜6種類は味わって楽しんでいる。去る11月6日には5回目を迎え、すでに27銘柄のウマ酒を嗜んでいる。できるだけ大勢の方々に参加していただくようお薦めしたい。 |
全国新酒鑑評会公開きき酒会風景 名門酒会吟醸酒を楽しむ会にて 第4回PSATS 銘酒の会 第5回PSATS 銘酒の会 |