10年ぐらい前から、家内との海外旅行の合間にクルージングを時々挟むようになった。クルージングのよいところは一度乗船してしまえば荷物の心配なしに最後まで軽装で過ごせることである。その開放感は換えがたいものがある。
移動する老人ホームだといみじくも語った乗客がいるが、特にアメリカやヨーロッパの船は車椅子や杖を突いてやっと歩行しているような船客が多いと感じる。しかし、ホスピタリティーは完璧で車椅子で独り参加でも十分楽しんでいる様で、中には、一年の大半を次々とクルーズ船を乗り継いで老後を過ごしている乗客もいるそうである。
船内の生活は毎日船内新聞が配布され、寄港地での多彩なオプション観光の他に、船内でも早朝から深夜まで、スポーツ・セミナー・各種手習い・映画・芸能ショーなど、何本ものプログラムが併行して組まれていて、終日航海日でも飽きることはない。本当はデッキチェアに身を任せて移り行く沿岸の景色や波を見て優雅に時間を過ごしたいのだが、ついつい時間刻みのプログラムを渡り歩くという貧乏性が顔を出し疲れてぐったりするのも苦笑ものである。何のためのクルージングか?・・・
クルーズ船の食事は早朝のモーニングティー(コーヒー)から始まって朝食・ティータイム(アイスクリーム他)・昼食・アフタヌーンティー(ケーキ・サンドイッチ等)・夕食(フルコース)・夜食(お握り・麺類等)まともに食べていると一日6回は食べることになり、太りすぎに要注意である。
外国船にはものすごく太ってやっと歩いている船客が多い。
クルーズ船にも、お国柄があり変化を楽しめる。日本の船では「飛鳥」フアンが多く、お上品で和洋食が選べ懐石風料理も出てくる。「パシフィックビナス」は関西の船会社で気安い雰囲気の船で喫茶部は東欧系の金髪のお嬢さんがサービスをしてくれる。「ニッポン丸」は料理の美味しさで定評がある。私はもっぱら2泊3日乃至3泊4日の短期クルーズに参加しているが、概ね1泊/5万円見当である。
これに対して外国船は1泊/2〜3万円で往復の航空運賃を入れても安く感じる・・・ということで、最初のクルーズ経験は15日間のギリシャ周遊の中の3泊4日のエーゲ海クルーズである。紺碧の海と陽光燦燦としてギリシャ神話に彩られた島々の巡航は強烈な体験だった。次はナイル川クルーズでナイル川上流のアスワンまで飛んで、そこからルクソールまで3泊4日で下るのだが、のんびりとナイル川の景色を眺めながら遺跡のすぐそばに接岸して観光できるのが利点である。コム・オンポの神殿遺跡では接岸して直ぐ上陸して見学したが、ドイツのグループは観光せず船の屋上のデッキで日光浴を楽しんでいたを見て国民性の違いを感じた。
北欧の定番コースのヘルシンキ〜ストックホルム1泊のクルーズは、6万トン級の大きなフェリーで船の中に数階分を吹き抜けにしたアーケードがあり、広いスーパーマーケットまであるのにはビックリした。これは公海上は無税を利用して両国民の買出し船になっているとのことで、上陸時に数ケースの缶ビールの大きな箱をこもごも引いて上陸する風景が日常的である。とはいっても船は豪華船でディナーはバイキングだが肉や海の幸満杯でワイン・生ビール等飲み放題である。島々の間を航行する景色とご馳走で1泊でも結構楽しめる。
今年は念願のオーストラリア・ニュージーランド15日間のクルーズに参加し、日本で製造した最大の豪華船といわれるサファイア・プリンセス(116.000t三菱重工長崎造船所)に乗船した。
その大さは全長290m最上階まで13階で、広角レンズでも埠頭からでは収まらない巨大さであった。さすがに大きなゆれもあまり感じず快適な2週間のクルーズを楽しめた。この船はアメリカの船で大食堂はバイキングで24時間常時開かれていて料理もフルーツ・デザート類も豊富で飽きることがない。船内見学に参加したが徹底したエコ設備に信頼感が増した。
ダグボート無しの接岸、狭いフィヨルドでの定点回頭など巨大さを感じさせない新鋭船の凄さを感じさせられた。今や巨大船時代で16万トンの船も出現している。
日本の船も欧米の船もルームメイド・ウエイターはほとんどフィリッピン人で、フレンドリーなホスピタリティーは特技である。
世界一周は望むべくもないが、この秋には、ニューヨークからケベック・プリンスエドワード島など東部アメリカ・カナダ沿岸の町を巡航し紅葉を見るクルーズを楽しみたいと思っている。
パシフィックビナスにて、船長ウエルカムパーティー
サファイア・プリンセス前部1/3をバックに撮影
いざ、オプショナルツアーに出発
|