自著によせて・・・・米田雅子
■団塊新現役世代ーNPOに生きる/著者:米田雅子、田中義幸、野呂法夫
戦後、日本は経済的な繁栄をなしとげ、世界一の長寿命の国となった。戦乱や飢餓に苦しむ国々が多いなか、世界全体からみれば幸せな国である。しかし、現在、この恵まれた状況が、長くは続かないという不安が急速に広まっている。団塊の世代が2007年から定年を迎えると、日本は超高齢化社会に突入する。労働人口は激減して経済はマイナス成長となり、税収は減り、退職金や年金の負担は増える。若い世代の負担は増大し、高齢者を支えきれなくなる。
ただし、この悲惨な予測は、「日本が従来の枠組みを変えない」という前提にたったものである。今、日本は急いで社会経済の枠組みを変えなければならない。高齢者が「負担ではなく、積極的に社会を支える側になる仕組みができれば、もっと幸せな社会ができるはずである。
筆者らは、その仕組みを求めて、「団塊新現役世代」というスローガンをあげて、定年制の見直し、再就職の支援、シニア起業、コミュニティビジネス、定年帰農など、さまざまな可能性を探った。そして、多様な選択肢の中からNPO に焦点をあて、新現役世代の新しいモデルを実例とともに提示した。21世紀の社会基盤と期待されているNPOの育成が、今後の活力あふれる高齢化社会づくりにとって重要であると考えたからである。
本書は、2003年10月から2005年2月まで、東京新聞・生活面に連載した「NPOという生き方」をもとにしている。東京新聞の野呂法夫氏が全国で活躍しているNP0の事例を紹介され、当協会顧問の公認会計士田中義幸先生が序章とNPOの運営を執筆され、米田が新現役の選択肢、NPOの基本、作り方を執筆した。
団塊の世代の定年で「熟練技術の伝承」に赤信号が灯り始めている。当協会サーツは、NPOによる技術伝承の先駆的存在である。実際の活動や運営は楽なことばかりではないが、みんなで力を合わせて技術者の新現役世代を実現していければと願っている。
■ 出版社/ ぎょうせい
■ B5版 194頁=1,800円(税込)