■「サスティナブルハウジング」
■ 監修/清家 剛・秋元 孝之
  編者/資源循環型住宅技術開発プロジェクト
■ 出版社/東洋経済新報社
■ A5版206頁 = 1,300円+税

 21世紀が目指す資源循環型社会を形成するための住宅作りの要諦を紹介した書物。まず、序章と第1章で地球環境問題について概観し、地球が有限であることを認識するとともに資源循環型社会を実現してゆく必要性および資源循環型社会の全体像が示されている。
 第2章では、資源循環型社会での居住の在り方が「サスティナブルハウジング」という呼称で概念的、包括的にのべられ、それを実現するための具体例の一つが「資源循環型住宅」と称される。
「サスティナブルハウジング」=「資源循環型住宅」ではなく、前者は後者の上位概念とされていることがわかる。
第3章では、資源循環型住宅を支える技術群が紹介されている。これらの技術は、大量消費という20世紀の資源消費型のものづくりとは逆の発想から進めてゆくべき先進的取組みである。本書では概要のみが紹介されているが、それぞれに投入された知的エネルギーの蓄積が背後に感じられてもう少し立ち入りたくなる。
 助走中である技術とその気になればいつでも使える技術が混在しているのであろう。
 第4章は、EU諸国の事例を紹介している。戦後わが国はたゆまざる努力で技術先進国の仲間に加わったが、再び水をあけられまた追いつかなければと感じさせられる。次の機会には是非個々の技術を集積した具体の資源循環型住宅を紹介して欲しいものだ。
 資源循環型住宅を勧める意義は大きいが、その端緒をひらき、事例を重ねてゆく見通しはどうか?彼我の取組みの度合いの差異はどこに起因するのか?我々は地域社会とそれを形成する個との関係がなおざりにされたまま成熟を見ていないのではないだろうか?京都議定書の約定を堅持することに意義を認める者がどれほどいるのだろうか。ひょっとして資源のない国ゆえに資源の枯渇に国民の多くが諦観しているのではないか?
 著者等には、次の機会に第4章から序章への「循環」を期待したい。               (今津賀昭)