ここ数年リフォーム会社の顧問として、若いインテリアコーディネーターの教育を引き受け、あるいは、日本増改築産業協会やマンションリフォーム推進協議会で講習を引き受ける機会がかなりありました。これらを通じて建築や設備あるいはインテリアについて、多くの人達が学んだことが現場に生かされていないという印象を強く受けました。
いわゆる専門家の著書は、知識を教えるものが多く、現場で応用するにはそれなりの能力と才能がないと難しいのです。もっと現場に密着した手引書を誰かがつくらないと、現場でどんなミスが発生しないとも言い切れません。そんな危惧を抱いていましたが、たまたま建築技術の橋戸編集長からお声がかかって、「戸建てリフォームで快適に暮らす」という本をQ&A形式でまとめてみないかとお誘いを受けました。
そのとき「やっぱり自分がまとめることになったか」と何か運命のような感じがしたものです。しかし相当のボリュームになるため、ものづくり大学情報センターの「リフォーム実務講座」でご一緒した「鞘設計事務所」の篠田弘子先生にインテリアをご担当いただけないかご相談したところ、快くお引き受けいただき着手することができました。
出版不況の折から、編集担当の女性社員はいろいろ迷って原稿の組み換えや内容の変更の申し出を受け、結果的に3冊分ほどの原稿をかいたことになって、篠田先生には大変ご迷惑をおかけすることになりました。
最後は橋戸編集長の決断で内容が確定されましたが、完成に近づくにしたがって建築技術のほうからも様々なアイデアが出され、赤崎正一さんのデザインでこの手の本としては珍しいサーモンピンクの扉に総てのQのインデックスをもうけ、いつでも必要なQを開けるようになりました。
売行きについて心配しましたが、数ヶ月経ってパソコンで検索してみると「アマゾン・ドットコム」の「暮らしの本」のカテゴリーで、売上げランキング11位にランクされていましたのでホッとしているところです。
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