最近読んだ本 ・・・・小鹿紀英
■ 愚か者ほど出世する/ピーノ アプリーレ著
/養老孟司序文
タイトルだけ見ると、よくある奇を衒ったビジネス本かとも思ったが、著者がイタリア人ジャーナリストだし、かの養老孟司氏が序文を書いているので、読んでみた。内容的には、今流行の「トリビアの泉」ばりの、へえーなるほど、と言いながら読む「暇つぶし本」の類であることには違いなかったが、なかなか読んでいて面白い。
序文より…「東大医学部は全国から秀才を集めて、バカにして卒業させる。」これは、東大医学部当時、若い教授が養老氏に言った言葉であるが、「病院では血圧が高いと降圧剤を与え、血圧を人並みに戻す。それが医学部の仕事で、学生をただの人にして送り出すのは当然の行為」というのが養老氏の見解。へえーなるほど、詭弁のような気もするけど。
1章より…「バカなやつほど生きのびる。」歴史を紐解くと優秀な頭脳を持つ人々が虐殺された例は枚挙に暇がない。古代ギリシャ然り、スペイン然り、ムーア人やユダヤ人の虐殺然り。かくして利口なやつは抹殺されバカが生きのびた。へえーなるほど。ごもっとも。
2章より…「バカは生きのび利口は滅びる。」ネアンデルタール人は現代人の2倍の重さの脳を持ち、優れた知能を持っていたが、この頭の大きさがお産時の死亡率の高さにつながり、結局頭の小さなクロマニヨン人に取って代わられた。へえーなるほど。説得力がある。
3章より…「現代人はバカになるために生きている。」長生きすると脳細胞が減っていく。医学の飛躍的な進歩により人類は長寿命を手に入れたが、それと引き換えにアルツハイマー病などの痴呆症に侵されるようになった。へえーなるほど。納得。
4章より…「バカは人まねが出来る。」並外れた知性をもつ人の才能は、バカを量産する。なぜなら、他の人はそれを真似してせっせと利用するだけで、自分の知力を磨こうとはしないからだ。へえーなるほど。これも真実。
以後9章まで続くが、残念ながらここで紙面が尽きました。お暇な方は是非ご一読を。
■出版社/ 中央公論新社
■ A5版194頁=1,500円+税